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【KIRI】大好きな猫、かつては大嫌いだった猫

「ニューヨークは都会にも関わらず、意外と緑が多い街なんだな」と旅行で渡米してきた祖父は言った。確かに春から夏にかけて街中にはリスが暴れまわり、木々から通行人にどんぐりや木の実、酷いときは石を落とす。高架下にはスズメの巣があり、毎朝可愛い鳴き声が聞こえてくる。リス、スズメの次に見るのが猫だ。猫と言っても野良猫ではなく、放し飼いしている品のある賢い猫がほとんどだ。

早朝、稽古場に向かっていた。見慣れた道をいつものスピードで、微かに香るコーヒーを感じながらいつも通り歩いていた。しかし、その日は違った。急に猫が飛び出してきて体当たりをし、僕を突き飛ばしたのだ。泣きながら逆方向に走り、遠回りをして稽古場に向かった。師匠に遅刻を怒られた。

次の日僕は警戒をしながらゆっくりと歩いていると、道の彼方に黒いふわふわが見えた。ヤツだ、絶対ヤツだ。また遠回りをして稽古場に向かい、また師匠に遅刻を怒られた。猫が大嫌いになった。

ある日水道管の工事があり、どうしてもヤツがいる道を通らざるを得なくなかった。恐る恐る進みヤツがいつもいるポイントに辿り着いたが、今日はどうやらいないらしい。安心したのも束の間、石が落ちてきて頭に激痛がはしった。泣きながら稽古場に飛び込むと、また師匠に怒られた。遅刻はしていないのに。

その次の日、また例のポイントに辿り着くと今度はヤツがいた!道の真ん中に居座り、通してくれない。どうしたらいいのか分からず立ち止まっていると、猫の後ろに石が落ちた。上を見ると、リスがいたずらで落としていた。どうやら猫はその石が落ちるポイントの周りをパトロールし、石が当たらないようにしているようだった。

そこからは早かった。サイモンとは不思議と少しずつ距離が近づき、お腹を撫でさせてくれる仲にまでなった。近くに住んでいる飼い主の方とも仲良くなり、サイモンは例のポイントをパトロールする度にカリカリをあげていたらいつの間にかそこを守るようになったと語った。なるほど、そこは縄張りだったのか、攻め込んでごめんね。

リスが石を落とすポイントとサイモンの縄張りが重なったのは偶然で、おとぎ話のように「石に当たらぬよう猫に助けられた」という事ではなかった。しかし、この体験を通して自分の行動が思いがけない結果を他者に生み、そこから新たな繋がりができる可能性もあるんだなと学んだ。サイモンと遊んだあの日々は僕にとって良い思い出だし、猫を嫌うどころか今では大好きだ。サイモンを見習ってもっと自分の歌を発信し、その先にどういう出会いがあるのか楽しみにこれからも活動したいと思う。

最近買った猫のお皿。超かわいい。

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